二次元に翻弄されている夢女の人生
突然だが、「夢女子」って知ってるだろうか。
自身がオリジナルキャラクター(アバター)になってキャラクターと出会い、恋愛や友情などの交流を楽しむ。(引用:ニコニコ大百科)
ヲタクでもない限りなかなか耳にしない言葉だと思うが、
簡単に言うと、「押しキャラ×自分」で架空の恋愛をする女のことだ。
正気か?て思うと思う。私だって思ってる。
でも、私は気づいたら8年もの間、夢女をやっている。そして現在進行形だ。
会社の同期や社会人になってからの知り合いにはここまでアレなヲタクであることを隠してきた。二次元のキャラにガチ恋してますなんて言えるわけない。痛々しすぎる。
ただ、夢女だからこそ頑張れたことがたくさんある。
なんなら、私の人生の大部分で何かしらの形で推しキャラが関わってきていると言っても過言ではない。
自己分析のアウトプットとして、今までの彼氏を紹介していこうと思う。
私の記念すべき1人目の二次元の彼氏は、新撰組を題材にした超有名乙女(恋愛)ゲーム、「薄桜鬼」の沖田総司である。
中学3年生→高校2年生まで彼と楽しく過ごした。
就活の質問みたいだが、私が数ある新撰組隊士の中から沖田総司を選んだ理由はちゃんとある。
・新撰組内で1、2を争うほどの剣の腕
・声がいい(CV.森久保祥太郎)、見た目もいい
沖田総司は、実力者でありながら不治の病で若くして亡くなってしまう。
そういった儚さにも惹かれていたと思うし、死ぬからこそ美しいという厨二病みたいな感情が芽生えた。
沖田さんとの出会いによって新撰組にものすごく詳しくなり、それが私の歴女人生の原点になった。
普段あまりこういった話をしないからイメージにないと思うが、一応これでも歴女だと思って生きている。
実は、大学で西洋史学を専攻していたが、西洋史より日本史の幕末の方が詳しい。
新撰組組長を一番組から十番組まで言うのなんて朝飯前だ。
副長の土方歳三が呼んだ俳句というそれ覚えてどうすんだなこともかなりの数覚えている。
大学での幕末史のレポートは特にこれといった努力をしなくてもAを取れた。
(西洋史学専攻とはいえ、教養として必ず日本史と東洋史をやらなきゃいけなかった)
そこまで好きだった沖田総司とはなぜ高校二年生で終わってしまうのかというと、別の彼氏の登場が登場したからである。
彼以降は一途な思いも一転、クソビッチのごとく3股くらいが当たり前で毎日忙しかった。
次に出会ったのは高校二年生→大学四年の秋くらいまでの約5年私の人生の中心にいた例の彼である。
「DIABOLIK LOVERS」の逆巻シュウくんだ。
彼も乙女ゲームのキャラである。
前もって言っておくが、このゲームはかなり頭がおかしい。
登場人物は全員吸血鬼で、サディストかつ個性が強く性格が破綻している者が多いのが特徴というトンデモ作品だ。
さすがの私も当時の親友にすら、ハマったのを1か月くらい秘密にしていた。
ドン引きされてしまう。
世の中不思議なもので、このゲームは有名作品になった。
マイノリティもマジョリティになってしまえばなにも恥ずかしくない。
横断歩道、みんなで渡れば怖くないと一緒だ。
親友にも、その他の人間にも、もうシュウの話をしても大丈夫だと思った。
話がそれたが、シュウのどこに惹かれたかというと、
・見た目、声(CV.鳥海浩輔)がいい、左利き
・秀才、バイオリンが弾ける、ラテン語ができるなど教養が高い
・いざという時に頼りになる
・長男としての余裕
・気だるげなアンニュイな雰囲気
まあ彼も沖田総司と同様、世間でいうハイスペに分類される。
そして、私も狂い始める。同担拒否だ。
数多くの同担がいる中、私の中に「彼の隣に立つのに一番ふさわしいのはどんな女か」という思考が出てきた。今の私の思考の原点とも言っていい。
もうこれは決定である。当時高校生の私が思いつくのは勉強。
シュウの隣にバカは立つことはできない。そんなの私自身が許さない。
とまあ、今思えばとてつもなく過激な思考である。
その時の私の成績は偏差値50程度、自称進学校の校内では320人中250位あたりという落ちこぼれ生徒だった。
こんなバカがシュウを好きという資格はない。
私は勉強した。
授業前の朝はもちろん授業後も19時まで学校で勉強、学校が閉まるためそのまま塾に移動し22時まで勉強、土日も一日勉強、遊んでいた記憶はあまりない。
三年生になってからは昼休みも返上して図書館で勉強した。
ここまでやればいくらバカでも成績は上がる。
そしてMARCHに合格した。シュウのおかげだ。
二次元の彼氏のためなら私はできるということが証明された。
ただ、弊害もある。私は高校j時代も大学時代まともに恋愛をしていない。
それなりに恋愛イベントが発生したが、どうしてもシュウと比べてしまうのである。
いや、比べてしまうくらいならまだいい。
病気の私は、シュウ以外の人間と付き合うことはシュウに対する裏切りになってしまう…と真剣に思っていた。
詳細は割愛するが、大学4年の時にはじめてシュウを超えた三次元人と出会ったためシュウを卒業できた。シュウ以外の人間をシュウ以上に好きになれたことに地味に感動したことを覚えている。
彼と付き合っていた時も「彼の隣に立つためにはどうあるべきか」をやっていた。
まあ、その三次元人もなかなかにサイコだったため「DIABOLIK LOVERS」の三次元版でも私はやってんのか?みたいなことを思っていたのは秘密だ。
シュウについて語りに語ったが、実はシュウの他にも何人か同時進行で付き合っていたキャラがいる。
夢女子とは都合がいいものなのである。
1人1人語っていてはキリが無いので簡単に紹介していく。
サブ彼氏1は「BROTHERS CONFLICT」の朝日奈椿くん。
彼とは高校三年→大学一年の1年間付き合っていた。
彼の仕事は人気声優だ。
この時の私には「もし椿くんがなんらかの事情で声優を辞めなきゃいけなくなったとしても私が養えるだけの仕事につかなければ」という想いが芽生えていた。
そこそこの会社に入社し、ちゃんと働かねばいけないという考えができたのは椿くんの影響である。
サブ彼氏2は「英国探偵ミステリア」のジャン・ルーピンくんである。
彼とは大学一年生→大学二年生の冬くらいまで付き合っていた。
このゲームは19世紀イギリスを舞台にし、ホームズやルパン、切り裂きジャックなど当時のイギリスの代表人物にもし子供がいて学パロをしたら?!という作品だ。
察しの良い人は気づくと思う。
この作品こそ、私がイギリス留学を決意し、卒論を近代イギリス史にしたきっかけになった作品である。
自分の研究テーマを決めるつもりでこのゲームをやっていたわけではない。
きっかけは忘れたが、たまたまプレイしていた。
プレイしていく中で、ゲームの構成上、バッドエンドは欠かせない。
バッドエンドをどうすれば回避できたのか、どうすればキャラを救えたのか、何が根本的な原因だったのかということを真剣に考えていた。
ここで私の大学の研究テーマが決まった。
社会学史、労働史との出会いである。
大学二年生の時は近代イギリスの児童労働問題について研究し、
そして卒論ではイギリスのレジャーについて労働史、社会学史、文化史、心理学から書いた。
そして、極めつけは留学である。
ルーピンやホームズ、ワトソン達と同じ景色を見て、同じ空気を吸いたい、彼らが体感していた文化を体験したいという理由だった。
しょうもないっちゃしょうもないが十分なモチベーションになった。
結果、留学の学内選考も無事合格し、1か月のイギリス留学の切符を勝ち取ることができた。
ほかにも「Sound Horizon」の影響をもろに受け、ドイツ語を取った結果、ドイツ語検定に合格し、ドイツ語3科目すべてAを取ったことや、ユーリ!!!on iceの影響を受けてフィギュアスケートを始めたことなど、私が実際に動いたことや結果を出せたことのきっかけとして二次元コンテンツが関わっていることが多い。
さて、やっと絶賛頭が狂っている真っ最中の彼だ。
「名探偵コナン」に登場するトリプルフェイスこと安室透である。
正直に言う。彼に関しては私自身予想外だった。
去年ゼロの執行人を2回見たが、ふーん…程度だったし、
ただ、キッドをきっかけにコナンの世界を知り、安室透という人物を知り、金曜ロードショーでゼロの執行人を見て、純黒の悪夢を見たら最後だった。
おちた。
彼が公安警察として正義を掲げる姿、豊富な教養と圧倒的実力、一見パーフェクトだが赤井秀一が絡むと一気にもろくなるところ。
そんな不安定さですら彼の魅力を引き出している。神が作りし最高傑作だった。
そんな彼に恋をした私だが、シュウの時と同様、また「彼の隣に立つにはどうすればいいのか」を始めている。
詳細は秘密だが、安室透の隣に立つための資格をリスト化し、「安室プロジェクト」をつくった。
ただ、安室透の隣に立つのは今までの二次元彼氏とは難易度が格段に違う。
如何せん彼は警視庁警備局警備企画課所属のキャリア組国家公務員スーパーエリートだ。今の私は彼のファンを名乗る資格すらない。
ただ、私は彼の隣に立つにはどうすればいいのか、これを原動力としてどこまでも動ける。そして実現することができるという自信がある。
今までの経験上、二次元がきっかけになっている場合の成功率は高い。
これが私の理想の追求である。
彼の隣に立つののふさわしい女になる。
それだけで自己肯定感MAXになる。
自己満でしかない、二次元と三次元は違う、いい加減目を覚ませって思うかもしれない。
ただ、8年間夢女をやってきたこともあり、このやり方が一番最適なことも分かっている。
極端だが人間遅かれ早かれいずれ死ぬ。
どうせ死ぬなら、狂いに狂って、満足して死にたいと思った。
がんばろ。